いつしかかけがえのない存在に。ある少女と犬の半生を綴った成長物語

優里さんが犬と飼い主の絆をテーマにし、つくった楽曲『レオ』。

メロディや詞はもちろん、4分28秒の中で表現されたMVの2人の物語には国境問わず多くの人が涙。そこで今回は、“レオ”さんに半生を振り返ってもらったという体で記事を執筆しました。

ちなみに、レオさんは物語上、最期を迎えていると思われます。そのめインタビューとなると本来の結末とは違ってくるので、その点はご了承ください。

では、早速インタビューを開始!


先が見えない不安な毎日。“ある少女との出会い”が、彼の人生の大きな転機となる

――レオさん、まずはご出身から。

えっと、それが恥ずかしい話、わからなくて。気づいた頃には、すでにショーケースの中にいたものですから(笑)。目の前に人が立ち止まったかと思えば、すぐに過ぎ去っていく。当時の状況を把握できず、「ここはどこ? 覗いていく人達の目的は何?  そもそも自分は何者なんだ?」と自問自答を繰り返す毎日。もう、不安で仕方ありませんでした。
そんな日々を過ごす中、ある少女だけが僕のことをじっと見つめてたんです。

――その少女とは?

のちの僕の飼い主です。駄々をこねながらも、なんとか父親を説得してくれたみたいで。
あのとき彼女が選んでくれなかったら、どうなってたのかな――。
今、考えてみると、なんだかゾッとしちゃいますね(笑)。

――(笑)。不安な日々から、無事に抜け出すことができたと。

本当に命の恩人ですよ。そして“レオ”と命名してくれた、名付けの親でもあります。うれしかったなあ。これでやっと、自分は何者かになれたんだと。
ちなみに、名前の由来を聞いたことはないけど、たぶんあるライオンのキャラクター。残念ながら、自分はそこまで勇敢ではないのですけど。いや、待てよ。寂しがり屋という面では似ているのかも(笑)。
まあ、そんなこんなで、“レオ”として新しい人生がスタートしたわけです。

――新しい環境での生活はどうでしたか?

もう最高。ペットショップのときよりもごはんはおいしいし、家の中で過ごしていたからレールに繋がれることもない。そして彼女が小学校から帰ってきたら、毎日散歩に連れってくれる。初めて外に出たときは、開放的で本当に気持ちがよかった。
あと、ルールやマナーを一切知らない自分に、しっかり、しつけもしてくれました。おすわりだったり、お手てだったりと本当に基本的なことからしつけてもらったので、時間は結構掛かっちゃいましたけどね。それでも、1つひとつできるたび、彼女はすごくよろこんで。小さな手で、何度も、何度も、撫でてくれたんです。

――いい飼い主と出会えたんですね。

はい。気づけば自分にとっは、かけがえのない存在になっていました。それで決めたんです。彼女がよろこんでいるときも、落ち込んでいるときも、絶対に傍に居ようって。

楽しいときは束の間。すれ違う時間が増えていく中、気づいてしまった“残酷な事実”

――その後は?

楽しい毎日だったのですが、実はそう長くは続かず……。

――何があったのですか?

彼女の生活の変化があったからですね。子どもって、中学、高校と大人になるために成長していくわけじゃないですか。そうなってくると、勉強や部活と忙しくなってくる。だから自ずと、一緒に過ごす時間は減っていきました。
だから、散歩は彼女のお母さんと一緒に行くこと増えていって。たまに歩いてる途中、彼女が男の子と楽しそうに歩いてるのを見たときもありました……。まあ、化粧をするようになったり、香水をつけたりと、薄々勘づいてはいましたけど、こればかりは仕方ありませんよね。
それでも、少しの時間でいいから遊んでほしくて、毎日帰ってくるのは待っていたんです。

――そこしか顔を合わせるタイミングがないと。

はい。彼女の部屋で「今日は何時になるのかな」って。とはいえ、帰ってくるのが遅いから、そのまま寝ちゃうことがほとんど。そんなときに決まって見る夢は、いつも彼女が出てきました。

――どんな夢を?

散歩したこと、公園で遊んだこと、一緒に転げ回って戯れたこと。いつも、楽しい思い出ばかり。しかし自分が目を覚ましたとき、彼女はぐっすり眠っている。寝顔を見ながら、いつも思ってました。どんな時間でもいいから、また2人で楽しい時間を過ごせたらなって。
ただ、昔のような時間を過ごすというのは難しかった。それから、さらに彼女は高校、大学の受験。無事合格したあとも、勉強も忙しくなり友達との時間も増えていきました。大学の後半になれば就活だなんだもあり、一緒に過ごす時間はどんどん減っていったんです。

――時の流れとは残酷。

本当にそうですよね。で、彼女が就職してしばらく経った頃、ある男性を連れてきて。まあ、話してる様子から、なんとなくは察しましたね。「これで本当に、お別れなんだな」と。寂しくて、悲しくて。だけど、そもそも犬と人間の関係ですから「生きる世界が違うんだな」と受け入れるしかありませんでした。
傍に居ることもできなくなった自分には、もう、彼女の幸せを祈ることしかできなくなったわけです。

“ある出来事”をきっかけに蘇った思い出の数々。最期は笑顔でお別れを

――ちなみに、彼女と離ればなれになったのは、“レオ”さんがいくつのとき?

14歳の頃かな。人間でいうと70歳くらい。実はこう見えて、もう還暦を超えてるんですよ(笑)。そういえば、最近、同世代のポチさんやココさんとは、散歩ですれ違うことも減りましたね。たぶん、会うことはもう……。
まあ、そんなこと言ってる自分ですけど、実はついこの間、動物病院へ行くことに。

――体調があまりよろしくない?

ちょっと、倒れてしまって。自分の身体のことなので、なんとなく調子が悪いのはわかってました。
ただ、よろこんでいいのかわかりませんけど、そのとき彼女が飛んできてくれて、久しぶりに会えたんです。部屋に入って来た瞬間、匂いですぐに気づきました。
そして、いつもと変わらず、優しく、優しく。あの日よりも大きくなった手で撫でてくれて。泣きながら、何度も「レオ」「レオ」と。
もうろうとする意識の中、いろんなことがフラッシュバックしてきて。そのとき「ちゃんとお別れを言えてないじゃないか」と思ったんです。正直、向こうの世界に逝ってもおかしくない状況だった。でも彼女のおかげで「まだ死ねない」と踏ん張れたんです。

――それで、なんとか一命を取り留めることができたと。

ええ。とはいえ、先が長くないのは自分の身体のことなのでわかってます。だから、いくつか彼女に伝えておきたいことがあるので聞いてほしいんです。

――教えてください。

まずは“レオ”という名前。かっこいいし響きがいいのはもちろんだけど、何より彼女が一生懸命考えてつけてくれたことに感謝してます。あと、一緒に過ごした日々は本当に楽しかった。だから最期は泣かないで、見送ってほしい。そして、また誰かに名前をつけて、自分みたいに幸せにしてあげてねと。

――了解です。しかりと伝えておきます。では、最後に全国の犬たちへメッセージを。

子どもとの時間は、あっという間。もしかしたら、楽しい時間よりも寂しい時間のほうが長いかもしれません。でも、1つひとつの思い出は、何年経っても色褪せることなく残る。だから、あと先考えず今を全力で楽しもう。
最後に飼い主のみなさんにも1つ。どんなに忙しくても、ちょっとでいいから構ってあげてください。それだけで、犬は本当に安心するし、何よりうれいしいんです。
偉そうに言っちゃいましたけど、以上で最高に幸せな人生を送った、犬からのメッセージとさせてもらいます。

あとがき

僕は犬どころかペットは飼ったことがありません。

では、なぜ犬のインタビュー記事を執筆したのかというと、実は仕事で新しくインタビュー原稿に挑戦したからです。

そこで、指摘されたフィードバックを参考に練習も兼ねて、インタビュー記事の執筆をしました。あと、インタビューする人物がいないということもあるのですが……。

そんな記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

ちなみに、『レオ』はMVのほかに、『『レオ』piano ver.』もあるので、ぜひ聞いてみてください。

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