読んだ文だけ書けるようになる。ある先輩からの教え

ライターの仕事をするため、田舎から東京に出てきて1年ーー。

ブログを書いていたとはいえ、ゼロからのスタートだった。

いろいろなテキストの執筆や、先輩方の教えもあり、以前よりも垢抜けた文章になったと思う。

しかし、目を引くような記事なのかというとそんなわけではない。

想像して欲しい。1年前まで素人だった僕と20年のライター歴がある上司の記事が、ポータルサイトという名の同じ商品棚に並べられることを。

結果は顕著に表れた。例えば求人広告の記事。PV数に対して応募につながった割合は、上司の場合が10%。ボクのは1%未満。ダブルスコアどころの話ではない。

しかし「もっといい原稿を!」と力めば力むほど、記事構成は破綻、文脈はめちゃくちゃ。空振りの連続だ。

追い越せる気がしない。それどころから背中すら見えない。

そんなとき上司とは、また別の先輩ライターからアドバイスをもらった。その方はボクと同じようにど素人からスタートしたらしい。しかし、3年というキャリアで原稿の執筆や校正だけでなく、サイトの運営まで大きく携わっている。いわばエリートだ。

そんな方からの助言は「読書をすること。休みの日はよく小説を読むよ」。ボクは自分からアドバイスを求めておきながら「割と普通だな……」と思った。

ただ、エリートが言うのだから間違いはないはず。それに読書に対して抵抗はなかった。以前からブログを書くうえで参考書に目を通したり、好きで自己啓発系の本を読んだりしていたからだ。

早速、書店に向かった。選んだのは映画化もされた『かがみの孤城』上・下巻の2冊。勉強目的だったはずが、表紙のデザインや帯の文言に惹かれ購入。ワクワクしながらページをめくると……なぜか読み進められない。本の内容がつまらないとか、わかりづらいとか、そういうわけじゃない。なぜか読み進められない。

結局、半分も読み進められないままに終わった。不思議でしょうがなかった。

「なぜだろう?」と思い読書の仕方を学ぶため、メンタリストDaiGoさんの『知識を操る超読書術』を読むことに。これはついでだけどDaiGoさんは、1日に10冊から20冊の本を読んでいるらしい。

そしてこの本の内容は、大まかにいうと実用書や参考書などを読むときに使えるテクニックが載っている。

となると、ボクが抱いた疑問が解決できなかった……というと、そんなことはない。

疑問は無事に解決。『かがみの孤城』を読めなかったのは、ボクが今まで小説に触れる機会がほとんどなかったからだ。

どういうことかというと、例えば「○ツ星を獲得したシェフのレシピを公開!」みたいな本を買ったとする。そのレシピに「キノコのグルタミン酸を補強するためパルミジャーノバウダーを使う」と書いていたら、初心者の場合、頭にはてなが浮かんで読み進められないだろう。そんな感覚に近い。

つまり何が言いたいかと言うと、小説初心者のボクには上・下巻セットの『かがみの孤城』はレベルが高すぎたのだ。そしてハウツー本とストーリー本とでは、ぜんぜん違うことにも気づけた。

そこで映画で観たことがあり、内容は把握済みの『君の名は。』を読むことに。さらに保険をかけて、文章が優しい小学生向けのものを選んだ。購入する際は少し恥ずかしかったが、背に腹は代えられない。

本を開くと適宜イラストは入っているうえ、映像でも観ているから情景が把握しやすく、どんどん読み進められる。小学生向けとはいえ参考になる表現もあり勉強になった。その勢いのまま『すずめの戸締まり』も読み終えた。まだ小学生の本から卒業してはいないが……。

とはいえ、以前よりなんとなくだが表現の仕方やワードのチョイスもよくなった気がする。まだ目に見えた結果に繋がったわけではないが、この積み重ねが大事なんだと思う。

あの先輩はどんな本をどれだけ読んだのかは、正直想像がつかない。でもボクも、とにかく読んで書いてを繰り返し、スキルアップするしかない。

ちなみにサムネのキャッチは、昔ボクが好きな曲から使ったものだ。まさか1年前は自分が東京で暮らすとは想像もしてなかったから、久しぶりに聞くとなんだかエモい。



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