「この世は弱肉強食」というセリフ通り、武力で日本の覇権を奪おうとし、明治政府からも恐れられた志々雄真実。
ですが、優れた剣術、緻密な戦略、頭の回転の速さ、組織を動かす能力も兼ね備えた優秀な逸材でもあります。
そのカリスマ性から、悪役ですが、るろうに剣心の中でも人気キャラクターの1人です。
そんな志々雄真実のモデルとなった人物が、新撰組の中にいたのはご存知でしょうか?
ということで、今回は
- 志々雄真実のモデルとなった人物
- モデルとなった人物と志々雄真実の共通点
- 使っていた日本刀
に、ついて紹介していきます。
志々雄真実のプロフィール・人物詳細
身長:170cm /体重:59kg /出身地:京都府/流儀:我流
剣心が請け負っていた暗殺業の後継者。野心とあまりに強さに、仲間からも恐れられ、不意打ちをくらい全身を燃やされ暗殺されそうになるが生還。日本の覇権を奪うため、十本刀を中心とした武闘組織を結成し、大久保利通の暗殺を行う。剣心たちを追い詰めるが、火傷の後遺症により人体発火し最期を迎えた。
志々雄真実もモデルとなった人物は?
志々雄真実のモデルとなった人物は、新撰組初代局長の芹沢鴨です。
当初は、復讐鬼というイメージで考えていたのですが、それだと怨念の深さは深くよく描けるけど、スケールの大きさが今イチなので、自分の復讐も国取りも同時に楽しんでしまう酔狂破滅型人間として今は捕らえていて、そういった点で、何となく新撰組筆頭局長だった芹沢鴨を最近はイメージして描いています。
では、芹沢鴨について解説していきます。
志々雄真実のモデルとなった芹沢鴨とは?
芹沢鴨の出身は水戸藩(茨城県)芹沢村の出身。出生に関しては謎が多く、色々と諸説があります。
本名も芹沢鴨ではなく下村嗣司だったと言われており、名前を変更した理由については詳しく後述します。
実家、下村家の次男か三男に生まれ、神道無念流の師範だったとされています。
そして、新撰組に入る前は『天狗党』に所属していました。
尊王攘夷の思想を持っているが、お金を巻き上げたり、暴力を使って好き放題していた団体。
元々、天狗党は尊王攘夷運動の中心となった団体でしたが、資金繰りに困り、結果、強奪や恐喝などをするようになってしまい、評判の悪い団体とされています。
そして、天狗党のあまりの行いの悪さに、芹沢鴨を含め幹部の者達は捕まってしまい死刑を言い渡されます。
処刑される予定の芹沢鴨だったのですが、政府の世論が変わり2年後に釈放となり、運よく命拾いすることになりました。
芹沢鴨が新撰組に入隊した経緯
釈放から2ヶ月後、芹沢は地元の水戸藩を去り、江戸に向かいます。
江戸では清河八郎が、将軍を守るための組織を作るため浪士を集めていたからです。
簡単にいうと、幕府の仕事をする人を募集していたのです。そのため、金銭的な待遇は中々よかったようです。
このときに、下村嗣司から芹沢鴨に名前を変更。
天狗党にいたことがバレてしまい、何かと面倒になると考え名前を変えたのでしょう。
しかし、清河八郎が人を集める理由が嘘であることが発覚します。
幕府のために働くのではなく、天皇のために働くということだったからです。
これに集まった浪士達の意見は分かれ、
- 天皇の元で働く者
- 清河八郎の計画を阻止しようとする者
- 将軍を守る役目を果たそうとする者
芹沢は、③を選択。
そして、同じ考えであり浪士組の中にいた、近藤勇・土方歳三・沖田総司らと、芹沢鴨の仲間とで組を結成。
これが後に『壬生浪士組』と呼ばれ、新撰組へとなっていきます。
壬生浪士組を結成後
組を結成後の組織は、筆頭局長に芹沢鴨。
局長に、近藤勇と新見錦。
新撰組の初代筆頭局長となった芹沢鴨ですが、最終的には新撰組の隊士から襲撃され暗殺されることになります。
なぜ、芹沢鴨は身内から暗殺されてしまったのでしょうか?
というのも、まず壬生浪士組を結成した時点で、芹沢派と近藤派の2つに分かれていました。
とくに、近藤勇を非常に慕っていた、土方歳三や沖田総司なんかは、
なんで芹沢が筆頭局長?
絶対近藤さんのほうがいい!
といった感じで、近藤勇のほうが慕われていたようです。
さらに、芹沢鴨の日頃の行いもよくありません。
壬生浪士組結成後、隊士の人数も増え組織が大きくなっていくと、資金が必要になってきます。
そこで、芹沢鴨は呉服屋の葵屋で隊士の着物を購入するのですが、お金は払わなかったのです。
何度催促しても、お金を払うことはなく踏み倒してしまいます。
※このとき葵屋が色仕掛けで仕込んだ女性が、後の芹沢鴨の愛人関係となったお梅。
そして、いつも酒を飲んでいて酒癖も悪かったそうです。
さらに、芹沢派で局長だった新見錦も、局長という立場を使い
- 仕事はしない
- 遊郭で遊びまくる
- 一般人から金を巻き上げる
など、壬生浪士組の名を汚すようなことばかりしていました。
芹沢鴨、内部から暗殺される
1863年9月16日八木邸で宴会をし、芹沢鴨はお梅と寝ていたとこを新撰組に暗殺されます。
芹沢鴨が暗殺された当時は、長州派に襲撃されたと言われていました。
実際に暗殺したのは、近藤派の隊士たちなのですが、内部で抗争があったのを隠すため、嘘のことを伝えたのです。
そのため、芹沢鴨の葬儀はしっかり行われ、葬儀には近藤勇も参加しています。
芹沢鴨は、新撰組に暗殺され最期を迎えました。
志々雄真実と芹沢鴨の2つの共通点
志々雄真実と芹沢鴨の共通点は、下記の2つです。
- 仲間から暗殺される
- 義理堅い
1つずつ解説していきます。
仲間から暗殺される
志々雄真実も芹沢鴨も、仲間から不意をつかれ襲撃されています。
志々雄は生き延び、芹沢はこの世を去ったという違いはありますが、どちらにせよ、2人とも仲間から危険視され、組織の悪い部分を隠そうとした意味で襲撃されたのは同じです。
義理堅く、人情味がある
志々雄も芹沢鴨も、生涯を通してみてみると、多くの人が破天荒で横暴な人と思うことでしょう。
しかし、2人には意外にも優しい一面があるのです。
志々雄であれば、虐待を受けていた宗次郎にかくまってくれたお礼として脇差をプレゼント。そして、宗次郎が家族を惨殺し身寄りがいなくなった後は、剣心と互角に渡り合うほどの剣客にまで育てています。
芹沢鴨であれば、お世話になっていた八木邸の葬儀の受付などを率先して引き受け、さらに子供たちが退屈しないように、絵を描いて遊んでいたエピソードが残されています。
意外にも、2人は義理堅く、情のある人間であることがわかりますね。
芹沢鴨の剣術の腕前は?
志々雄がるろうに剣心のキャラクターの中でもトップクラスの強さ。
同じように芹沢鴨も腕の立つ剣客であったようです。
とくに芹沢鴨の強さがわかるエピソードが残されています。
それは、大勢の力士を相手に圧勝。
大阪で仕事を終えた壬生浪士組は、向こうから歩いてきた力士と、道を譲る譲らないで揉めてしまいます。
どちらも道を譲る気配がないので、芹沢鴨は、重さ1キロもある鉄扇で力士を叩き、力士もあまりの痛さに一旦は道を譲ることにしたのです。
しかし、頭にきた力士達約30人は、浪士組が宴会していたところにきて乱闘騒ぎになってしまいます。
浪士組もお酒を飲んで酔っ払っており、芹沢鴨も泥酔状態。
そんな状況でも、芹沢鴨は酔っ払っているとは思えない動きで、力士の脇腹に刀を差しこみ、結果、浪士組8人で力士30人を倒し、力士側には死者も出てしまい、負傷者も多数。ですが、芹沢鴨に関しては無傷だったのです。
力士側も角棒を準備して戦いに臨んだのですが、酔っ払っている芹沢鴨と浪士組の隊士の圧勝という形で終わったと考えると、やはり芹沢鴨もそれなりの剣客であったのではないでしょうか。
参考文献
志々雄真実のモチーフとなったキャラクターも紹介
芹沢鴨はモデルとなった人物で、志々雄のモチーフとなったキャラクターは別にいるので紹介していきます。
モチーフとなったのは『犬神家の一族』の青沼静馬
デザイン上の大元のモチーフは色々と言われているようなのですが、実は映画『犬神家の一族』の青沼静馬です。
「あれ、包帯巻いてないじゃん?」
と、思った方もいるかもしれませんね。
実は、最初の志々雄のデザインは青沼静馬をモチーフに、人間型のラバーマスクを被っている予定でした。
いざ、漫画で再現しようとなると、
- 表情が出しにくい
- ラバーの質感を表現するのが難しい
- 志々雄の火傷の痛々しさが伝わらない
ということから、包帯ぐるぐる巻きの志々雄が誕生したのです。
ですが、ただ包帯を体に巻き付けている訳ではなく、顔の部分は包帯を交差させるなど工夫して、志々雄なりのビジュアルのカッコ良さを考えているのです。
火傷をする前の志々雄真実のモチーフは牙神幻十郎
あと、やっぱり真サムライスピリッツの牙神幻十郎の悪辣として、それでいて粋なとことなんか影響を受けています。
火傷をする前の志々雄のモチーフとなっているのが、真サムライスピリッツの牙神幻十郎。
まだ火傷がなく、包帯をする前の志々雄の姿がこちら。
髪型や表情、肩を出しているところが、思いっきりモチーフとなっているのがわかりますね。
火傷をする前の、志々雄の姿は本編では少なく、とても貴重な姿であります。
志々雄真実が使う無限刃のモデルとなった刀は?
※画像は無限刃の模擬刀。
無限刃のモデルとなった刀はありません。るろうに剣心オリジナルの創作の武器です。
モデルとなった、芹沢鴨も無限刃のようにノコギリのような刀は使っておらず、実際に愛刀していたのは『備後三原守家正家』(ビンゴミハラノカミケマサイエ)です。
鎌倉時代からある刀で、多くの武将や侍が使っていたとされています。
芹沢鴨は力士との乱闘のときにも『備後三原守家正家』を使いました。
芹沢鴨が生きていたら志々雄真実のように大きな野望を持っていたのだろうか?
志々雄真実は襲撃されるも、執念で生き延び、思い描いていた『弱肉強食』の常に暴力で支配された日本になるところでした。
同様に、もし芹沢鴨が生き延びていたら、違った新撰組になっていたのかもしれません。
近藤勇や土方歳三が表舞台に出ることはなく、芹沢鴨が新撰組を使って、日本の覇権を握っていた、なんて考えたら少しゾッとしますね。
今回は、るろうに剣心の志々雄真実のモデルとなった、芹沢鴨について紹介させていただきました。
そして、るろうに剣心の本編ではわからない、志々雄の過去のエピソードが描かれた『るろうに剣心 裏幕―炎を統べる―』が発売中。
「十本刀はどうやって集まったのか?」
「志々雄のことをもっと詳しく知りたい!」
という方は、チェックしてみて下さい。