誰に届けて、なにを伝えるべきか。EXILEのATSUSHIさんから学んだ話

昔、「LIFE IS BEAUTIFUL~小さないのちの詩~」という番組がありました。

この番組のとある回に登場したのは、ボーカルとしても、作詞家としても活躍をみせるEXILEのATSUSHIさん。過疎化の進んだ村にある、全校生徒20人の米中(とよね)中学校に訪問する回がありました。

毎年、米中中学校では、来年度入学してくる新入生と交流を深めるため、在校生徒が合唱を披露する行事「きらめき合唱会」が行われています。そこで生徒たちは、ATSUSHIさんと一緒に作詞した歌を後輩たちに披露したいと思っていました。

そんな生徒たちの願いを、 ATSUSHIさんは快く引き受け、一緒に楽曲作りがスタート。

初日。まず、ATSUSHIさんは、生徒たちの学校生活の様子や将来の夢などを聞くことに。そういった内容から得た学び、そこから生まれた価値観を詞に込めて、未来の後輩たちに伝えようと提案しました。

翌日、生徒たちは考えてきた内容を模造紙に書き出していきます。「努力」「絆」「感謝」など、歌詞というよりは使いたい言葉を考えてきた感じです。

これを見てATSUSHIさんは、言葉が持つ意味、そして言葉が持つ力を考えてほしいことを話します。「たくさん言葉はあるけど、言葉とは気持ちの表れーー」「本当にみんなが心から思っていることを、後輩たちに歌わなきゃ意味ないよ」と、少し厳しいことを伝えます。

そこで、 ATSUSHIさんは過去に書いた「One love」という楽曲の詞を、誰に届けたくて、何を伝えたくて書いたのかを、生徒たちに説明。その内容をふまえたうえで未来の後輩たちに何を残してあげたいか、よく考えることを伝えました。

そして、生徒たちは改めて詞をつくり始めることに。

ATSUSHIさんのアドバイスを受けながら、生徒たちは今までの経験した出来事をもとに、どんな心境の変化があったのか、そのうえで結果としてなにをもたらしたのかを模造紙に綴っていきます。

日が暮れた頃、詞の軸となる物語が完成。

自然と笑顔がこぼれるATSUSHIさん。生徒たちと話し合い、さらに内容の解釈を深めたあと楽曲づくりに取り掛かかりました。綴られた言葉を何度も読み返し、口ずさみながら生徒たちが歌ったときに一番ぴったりな表現を考えていきます。

そして、完成した曲が「煌めきの歌」。

ちなみにATSUSHIさんは、この楽曲をソロコンサートで歌ったことがあります。

ということで無事、楽曲が完成しエンディングを迎えたわけですが、この曲が出来上がる工程を見ることができたおかげで、ものづくりにおいてはテーマが大事なのだと認識できました。

誰に伝えることを目的としているのか。
そのために、なにを伝えるべきなのか。
どの言葉を選べば、明確に伝わるのか。

こういった点をあらかじめ決めておかなければ、原稿を執筆する場合でも方向性が定まらずブレた内容となり、誰の心にも刺さらない記事となってしまいます。

米中中学校の生徒たちのように、僕も言葉選びに重きを置いて執筆し、なにも伝わらない原稿をを書いってしまった経験が数えきれないほど……いや、現在進行形であります。

しっかりとテーマを決め、それに沿って文章を綴っていけば「自然とまとまりのある原稿ができあがるのでは」と、EXILEのATSUSHIさんから学んだ話でした。

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